忍者ブログ
ハゲタカのSS不定期掲載
[14] [13] [12] [11] [10] [9] [8] [7] [6] [5] [4]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

お笑いモードのワシユカSSです。
こういうの楽しいよね。にしても、うちの西野くんはブラックですわ~。
由香ちゃんがだんだん退化していくの、どうよ。
どうでもいいですが、このあと由香ちゃん、大変だったろうなあ。
制服、当然クリーニング行きです。(笑)






ちょっと待て、君たち正気か?

こんなところ誰かに見られたら、どうするつもりだ?

主犯は西野だろうが、いったい何考えてるんだ。

開いた口が塞がらない、とはこのことだ。


『男にして女の誘惑より身を脱するは、まことにこの世のただ一つの奇蹟たるべし』

鷲津は今夜、その言葉を身を持って実感することになった。

 


目まぐるしく変わる世界市況の流れのなか、鷲津ファンド代表として心身をすり減らす日々の鷲津である。

今夜も、そろそろ北米マーケットが開くかという時間、彼の部屋を訪ねたのは毎度お邪魔虫の西野。

そして彼の後ろに隠れて、おどおど身を竦ませているのは・・・

本年度アナウンサー人気投票ナンバー1、プライム11の花形ニュースキャスターでなく。

おさげ髪を結い、セーラー服を着た女子高校生姿の三島由香―――だった




「よう、鷲津ちゃん。 今日もがんばってるねぇ」

「いきなりこんな時間に、ごめんなさいっ!」

突如ドアを開いて現れた来訪者に、鷲津は目を見開いたまま文字通り数秒間かたまった。。

相変わらず、受付も秘書室も素通り、アポも先客もおかまいなしの西野である。

頭の中を必死に整理しようとしたが、鷲津はしばらく言葉らしい言葉を紡げない。

ただただ、呆然とデスクの前に立ち尽くす。

それというのも。

「・・・由香さん、その格好・・・・」

やっとのことで、それだけを喉からしぼり出した鷲津。

しかしその声も、西野の邪悪な高笑いに一掃されてしまった。

「ね、こういう由香ちゃんもカワイイでしょ? あんたの喜ぶ顔見たくてわざわざ連れて来た」

そう言って西野はふり返ると、由香の胸元のスカーフをわざとらしくひらひらして見せた。

ミニのプリーツスカートから、由香の細く形のよい素足が伸びている。

「・・・治くん、やめて。 悪趣味だってば」

「・・・由香さん、もしかして、君は隠れてこんな趣味が・・・」

「違いますっ! これというのも治くんがっ!」

最後まで聞かず、鷲津の言葉を由香はもの凄い勢いで否定した。

しかし真っ赤になった顔を、鷲津のほうへまともに向けることはできない。

西野の背にしがみつき、内股のブリブリポーズで言われても、この場合、説得力皆無である。

脱力して、額に片手をあて瞑想したまま、鷲津が椅子に腰を下ろす。

そうして深いため息をつく恋人に、由香はおずおずと事情を説明し始めた。




「・・・あの、鷲津さん、・・・今日は東洋テレビの創立記念日だったでしょ・・・それで、式典のあと、・・・ホールでパーティーがあって」

「ああ、急遽来客があって、僕は出席できなくなったが・・・。 君が司会を担当したんだろう? 東洋新聞社や講学社、グループあげて発展を誇示する、結構なことだ」

「・・・その会場に、治くんも招かれてたんだけど、・・・それが」

ここで西野が待ってましたとばかりに、陽気に口をはさんできた。

「だってさあ、メデタイ日だってのに、由香ちゃんったら、ダっサダサのいつものスーツで、なに?これぇ?もしかして株主総会~って感じなのよ」

「ち、ちがいます! あれはちゃんとスタイリストさんが選んでくれた冠婚葬祭用の」

「でね、せっかくだから、ちゃんと視聴者のみなさんが喜んでくださるような服を着なさい、と」

「そうなんですっ! そういうこと社長の前で平気な顔して言い出すんです、この人っ!」

今や西野は東証一部上場、成長著しいレジャーグループの社長である。

飛ぶ鳥を落とす勢いとはこのこと、近く経団連にも正式会員として認められる予定で、既に名だたる企業が何社か提携を申し出ている。

「いやさ、何しろうち、東洋テレビの大スポンサーじゃん。 それでまあ、俺の提案っていうか希望っていうかさあ、ノープロブレムでゴーサインなんだよねぇ」

「ひどい、治くんっ! 昔、私がファミレスでどんだけごちそうしてあげたと思ってんのっ!!」

「で、東洋テレビの社長に、君は何を直接『提案っていうか、希望っていうか』申し出たんだ」

「うん、だからこれを」

そう言うと、西野はセーラー服姿の由香を鷲津に向かってうれしそうに押し出したのだった。



「・・・こういう格好をした成人女性を見て、・・・喜ぶのは一部のマニアだけだろう」

「やだなあ、鷲津さん。 一部のマニア、そういうのがすごい大事なんですって。 ネットのこともう少し勉強したほうがいいなあ、オタクの気持ちってやつ」

日本を代表する投資顧問会社の社長となった鷲津を、平然と鼻で嗤う西野。

国内外を問わず、ネットワーク関連事業の情報収集と分析に、西野の存在が欠かせないのは事実である

かと言って、今夜の由香の仮装と自分の運用するネットファンドビジネスが、どこでどう繋がるのか理解に苦しむ鷲津であった。




何とリアクションしていいかわからず、とりあえずスカーフをいじる由香を鷲津は一瞥した。

身に纏っているセーラー服は夏服仕様で、爽やかな白い生地の上着。

そしてこれに、襟元にまとったスカーフのえんじ色がよく映えている。

紺のミニスカートも白のルーズソックスも、今どきの女子高生そのものだ。

確かに由香は何を着ても似合うし可愛い、それは認める。

細身の身体が、高校時代とさほど変わらないスリーサイズであることも認める。

―――しかし。




「ごめんなさい、鷲津さん。 治くんにセーラー服とブルマーと猫耳メイドのどれか選べって言われて。 セーラー服が一番ましかなって、選んだのは私なんです」

「そういう問題でないだろう」

鼻歌まじりの西野をよそに、すっかり涙目で落ち込む由香である。

「どちらさんも、そういうわけで。 じゃ、俺これから合コンなんで、帰るわ」

西野がひらひらと片手を振り、ああ面白かったとばかり、きびすを返す。

嬉々とした男の後姿に、鷲津は狼狽させられている自分が次第に情けなく思えてきた。




『そうだ、そもそも西野のやつに、常識なんて期待するのが間違いなんだ』

即座に情報を整理し、鷲津は冷静に考えてみる。

西野は東洋テレビにとって、大切なスポンサーなのだ。

一会社員である由香に、社長を通した命令とあらば逆らえない雰囲気もあったのだろう。

鷲津はため息を吐くと、うなだれる由香の全身をもう一度眺め直した。

腹をくくった、と表現した方が正確かもしれない。



「・・・で、成果は?」

「?」

「君は会社のために尊い犠牲を払ったんだ。 東洋テレビにとって有益な投資の約束を、彼からとりつけたんだろう?」

「・・・そういえば社長と、深夜枠でコスプレ番組をどうとか話してたけど・・・」

なるほど、深夜帯の番組を企画から丸ごと買い取ったのか。

彼の計画のどこまでが酔狂でどこからが本気なのか、未だつかめない鷲津である。

―――しかし、その手の番組ならメインターゲットはオタクじゃないか。 そんなんで日本の未来は明るいのか暗いのか。


「事情はわかった。 で、君はそもそも、どうしてここにその姿で来たんだ」

“ここ”とはもちろん、鷲津の部屋、つまり鷲津ファンド投資顧問の社長室、である。

「・・・だから、治くんの『提案』は、この格好で鷲津さんのところに行くことだったの」

「は? 僕のところに?」

確かに鷲津にとって、由香の女子高生姿に一抹の郷愁を感じないかといえば嘘になる。

あの頃から、自分は由香に対して特別な想いをいだいていた。

大人になるのを待とう、そしていつか自分の気持ちを伝えようとして、あの事件が起こったのだ。



「治くんが教えてくれたの。 鷲津さんは制服姿の女の人が好きなんだって。 ・・・特にジョシコウセイが」

「はあ? 誰がだ!」

「だって打ち合わせしてるときも、女子高生のほうばかり、ジーっと見てるって」

いつの間に普段の調子を取り戻したのか、由香の瞳には険しい色が混ざっている。

「あのね、由香さん。 君、西野にだまされてるよ」

鷲津が椅子から立ち上がり、やれやれとばかりに頭を振った。

「僕が女子高生のほうを見ていることがあるとすれば、ね」

そう言って、鷲津がゆっくりとセーラー服の由香に近づく。

「あ、あの・・・鷲津さん?」

察知した由香が身体を引こうとしたが、鷲津の腕に阻まれてそれは適わなかった。

肩を強くつかむ鷲津に、由香は自然抱きしめられる格好になる。

「君の高校は、セーラー服ではなかったな」

「そう、え? 覚えてたの? 鷲津さ、」

その後の由香の言葉は、鷲津の唇で封じ込まれた。

圧倒的な力の差に、抵抗出来ない由香の口腔を、鷲津はここぞとばかりに蹂躙する。

そして片手で、由香のスカーフを器用に解いていった。

由香の上着の下に差し込まれた鷲津の手は、好き勝手に動き回って由香を追い上げる。

スカートの中にもぐりこんでくる指に、由香は身体を捩らせて逃げた。

真っ白になっていく頭の中で、由香は懸命に今、現在の自分と鷲津の状況を考える。

ここは彼の執務室で、まだ社員はほとんどフロアに残っていて、私はこんな格好で、立ったまま鷲津にいいようにされている、と。

・・・これってやっぱり・・・怒ってる?

「ん・・・・ッ」

舌で上顎を舐められ、鷲津に胸のふくらみを下着の上から撫でられた。

湧き上がる下半身の甘い痺れに、由香は必死に耐えている。

しかし早くなる動悸、乱れる息遣いは、もう隠しようがない。

「・・・ん、・・・なさい・・・・」

涙まじりの声のあと、一瞬の静寂。

「・・・鷲津さん、ごめんさない、・・・だから、怒らないで・・・」

ほつれた三つ編みが頬や額に乱れ、由香の瞳は大粒の涙に潤んでいる。

このときの鷲津は、よほど恐い顔をしていたのだろう。

そんな由香を横目に見ながら、鷲津がすばやくデスクのPCの電源を落とした。

「ロッカーの中から僕のコートを出して、羽織りなさい」

「え?」




西野のやつ、今夜は貸しになるか借りになるか。

一方、鷲津はこんなに簡単に西野にのせられる由香が、心配でならない。

どうしていいかわからず、言われたとおり鷲津のコートを羽織った由香を振り返る。

「帰るぞ。 そんな姿、マスコミに嗅ぎつけられたらどうする」




その後、由香が鷲津のマンションに連れ込まれたのは言うまでも無い。

そして実は来年の創立記念日が待ち遠しい、と素直にいえない鷲津であった。

 

PR

コメント


コメントフォーム
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード
  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字


トラックバック
この記事にトラックバックする:


忍者ブログ [PR]
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
フリーエリア
最新コメント
[10/02 shibainnu]
[09/23 shibainu]
[09/23 管理人]
[09/22 shibainu]
[09/22 管理人]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
No Name Ninja
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
カウンター
カウンター
アクセス解析